田中矯正歯科医院のブログ


by chimoru
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歯の銀行!!

ちょっと前の話になりますが再生の話しが出たので紹介します。
矯正歯科治療で抜いた歯をなんと冷凍保存して、また植えることができる!!


親知らずや歯科矯正の治療のため、健康な歯を抜く予定のある人は、抜いた歯をティースバンク(歯の銀行)に預けるという方法もあることを知っておこう。
ティースバンクとは、何らかの理由で抜かれる健康な歯を、自分のために冷凍保存しておくシステム。保存しておいた歯は将来、虫歯や事故などで歯を失うことになったときに、解凍して再利用することができるというのだ。
実はこのシステム、2004年4月1日に、世界でも初めて広島大学で事業化された。ティースバンク事業を運営するのは、同大学発のベンチャー企業、スリーブラケッツだ。
ティースバンクによる歯の再利用の仕組みは次の通り。
まず、親知らずや矯正治療で抜いた歯をティースバンクに預けると、磁場を使ったプログラムフリーザーで歯を凍結、次いでマイナス150度で長期にわたって保存される。預けられた歯は将来、虫歯などで歯を失ってしまったときに解凍され、従来のインプラントや部分入れ歯の代わりに、抜けた部分に移植できる。
ただし、預けることが可能なのは、移植による生着が可能な健康な歯に限る。したがって、上下の親知らずや、歯列矯正のために抜歯される上下の小臼歯が保存の対象になる。
スリーブラケッツで、実際に事業の中心役を担っている河田俊嗣氏(広島大学病院口腔健康発育歯科矯正歯科講師)によれば、親知らずは、第1、第2大臼歯の部分に移植できる。また小臼歯は、下顎の前歯以外なら、歯の形を整えることでどこの部分にも再利用が可能だという。
以前より、親知らずを抜いた場合、即座に必要な部分に移すという技術は確立されていた。これは「即時自家歯牙移植」といって、保険適応にもなっているくらいポピュラーな方法だという。しかし、これまで抜いた歯は、1時間以内に移植しないと歯の生着に必要な「歯根膜」という組織が機能しなくなることや、移植が必要になった時期には、移植する歯がすでに抜歯されていたりすることなどから、実際に治療を受けられる患者さんは少なかった。
また、冷凍保存した自分の歯を移植するという方法も、研究レベルではよく行われていたが、これまでの冷凍方法では、組織中の細胞の破壊が大きいため、移植の成績にバラツキが多かった。広島大学でティースバンクをビジネスとして立ち上げることができたのは、「保存する歯の組織に障害を与えない、磁場を使った独自の冷凍技術の開発によるところが大きい」と河田氏は話す。
入れ歯やインプラントに比べて、自分の歯を抜けた部分に移植することのメリットは、「歯根膜がついているので、“噛みごたえ”が得られることが一番の魅力」と河田氏は強調する。歯根膜の組織からは、神経や血管が再生するので、普通の歯と同じような噛みごたえが約7割は戻る、と言われているそうだ。
さらに、インプラントは骨の一部と癒着するため、年をとって細菌感染などのトラブルが生じたときに、歯を除去しにくいという欠点もある。だが、自分の歯なら緊急事態のときに簡単に再抜歯ができるという点もメリットだ。もっとも、歯周病で歯を抜かなければならなくなった患者さんには、インプラントも移植も適応は難しいという。
解凍し、移植した歯は、動かないように3日間ほど強く固定した後、噛む力の刺激をゆっくりと加えていくために1カ月間ほどワイヤーによる固定を行う。また、歯根が完成している歯の移植後1カ月目には、歯髄処置が必要な場合もある。いずれにしても移植歯は、全く違和感なく噛めるようになるには2~3カ月間ほどかかるという。

気になる料金だが、歯1本あたりティースバンクに20年間預けるのに9万円、解凍して移植するときに10万円、ほかに血液検査の2万円など、合計で約20万円と少しかかる。
 なお、すでに抜かれた歯は、歯根膜が乾燥して死んでしまっているため、冷凍保存できないので注意したい。現在、広島市以外に住んでいる人も、東京都、大阪市、愛媛県松山市、広島県呉市、広島県福山市、名古屋市などでは、提携医療機関を紹介してくれるというので、問い合わせてみるといいだろう。
抜いた健康な歯は、捨ててしまうのはあまりにもったいない。自分の歯をリサイクルするこのシステム、検討する価値はありそうだ。
by chimoru | 2006-03-08 11:35